ここでは、私の友人・知人のホームページやブログを紹介させていただこうと思います。
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●今回紹介させていただくのは、アマチュアカメラマンの渡辺昭彦さんのホームページとブログです。
近年、ネーチャーフォト花盛りといった感があります。そこには、純粋に科学的意図をもって撮られる記録写真から、日本の伝統的な美意識に根ざした花鳥風月といった写真まで、実に幅広い質の異なる写真が含まれているようです。しかも、今森光彦さんや井上隆雄さんのように、人間活動/生産活動に対置される西洋的な自然観そのものにまで疑問符を投げかけられ、自然(じねん)という日本古来からの視点を現代に蘇らせ映像化しようとする作家までおられます。ネーチャーフォトと一口で括るのはなかなか難しいものがあるようにも思われます。いずれにしても私自身、○○フォト、××フォトとジャンルを意識して撮ったことがないので、自分の写真が何フォトでも構わないのですが、ただ、ネーチャーフォトといわれる写真を見る時、心の中では多少の線引きをして見ています。
科学的な意図や視点をもって撮られる写真をScientific Nature Photo、たとえ被写体が自然そのものであったとしても、それに美的・詩的に接近しようとする写真をArtistic Nature Photoと線引きして見てきました。もちろん両者の間に絶対的な境界線などあるはずもなく、その中間的な写真も含めて様々なグラデーションを描いて存在しているというのが現実です。科学的な視点から撮られる写真がアートでないと言っているのでもありません。むしろこの分野のカメラマンの方が、対象とする自然に奥深く入り込んでいるためか、アートとしても素晴らしい映像を生み出されているように思います。
言うまでもなく私の写真は、自然への詩的・情緒的な接近であり、後者のArtistic Nature Photoに属するものだと思っています。
今回紹介させていただく渡辺さんのホームページやブログは、どちらかというと前者に属する写真が中心となって構成されたものだと思っています。彼は私と同じアマチュアカメラマンです。但し彼は、正真正銘の理系の科学者です。科学の目的は、それが自然科学であろうと社会科学であろうと、対象とする現象の発生する条件や発展過程・内容を明らかにし、その現象を生み出す本質を実証的に特定することだと考えています。
しかし科学の最初のアプローチは、多種多様に現れる現象を収集し、それを比較・検討し、特徴づけ、分類することだと思っています。彼はブログの中で、各地のスミレを撮り集め、分類し、種を特定しようとされています。もちろん趣味ですから、専門の学者のような責任感や義務感で取り組んでおられる訳ではなく、あくまでも楽しんでやっておられるようです。それにしても、私とは対極にある自然に対する接近の仕方だと思っています。
渡辺さんとの出会いは、今から十数年前、写真家の今森光彦さんから紹介されました。当時は近所の真野に住んでおられました。その後、仕事の関係で京都・静岡・神奈川へと転勤されたのですが、どこへ行かれてもカメラ片手に自宅周りの自然や風景を撮り続けておられます。また、しばしばの遠出もあまり苦にされないようで、そのバイタリティには頭が下がります。
私の場合、自然科学的な関心によってシャッターを切るということはありません。しかし渡辺さんは、その自然への科学的な関心によって写真を撮り続けて来られたようです。自然大好き人間です。アマチュアカメラマンにとって、ある種のテーマのようなものを持って楽しく「撮り続ける」ということがとても大切なことだと思っています。それが対象に対する知を深め、自己の内面世界を豊かにすることにつながると考えるからです。渡辺さんのホームページやブログには、そんな一端が現れているように思います。