奥比叡の里より「棚田日詩」 | 野菜サラダ

2020/02/12

野菜サラダ

昨年から今年に掛けての年末・年始は、雪もなく、少し異様さを感じさせるほどの暖かな日が続いた。例年なら2月の中旬辺りから開花するタネツケバナやホトケノザ、イヌノフグリといった小さな花々が、タンポポと一緒になって正月の元日から顔を覗かせていた。蝶の幼虫も蛹にならないまま年を越し、餌を求めて草むらの中をさまよっていた。こんなにも暖かな冬は、私の人生の中でも記憶にない。今日の写真は、そんなポカポカと暖かな冬日を撮ろうと思ってシャッターを切ったものである。ここに来るまでに少し歩いたせいもあってか、背中は汗で濡れていた。

しかし、今日のタイトルがどうして「野菜サラダ」なのか?

昨年末の大手量販店の売上、中でも肉・野菜・魚の生鮮三品の売上を見てみると、肉と魚が前年よりも落ち込み、野菜だけが伸びているそうだ。こうした傾向は、暖冬のために鍋料理の回数が各家庭で減ったためではないのか?と想像されている。とすれば、肉類や魚貝類の売上が落ち込んでいくのは理解できる。しかし鍋料理に使われる白菜や大根、水菜やキノコ類などの野菜の売上も同時に落ち込んでも不思議ではない。それでもなぜか野菜だけが売上を伸ばしているという。?????

その理由が「野菜サラダ」であるらしい。私のイメージからすると寒い冬と「野菜サラダ」があまり結びつかないのだが、暖かな冬が日本人の食生活を微妙に変化させているようだ。消費という食生活の変化がやがて生産の側の変化を後押ししていくのだろう。そして生産の変化が、更に食生活を変えていくことになるのだろう。

 

冬のポカポカ陽気の棚田の写真と「野菜サラダ」。一見何の関係もないこの二つの事象を結び付けているのは、現在進行形の温暖化という気候変動なのかもしれない。