奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2016 | 4月

2016/04/24

田植え前

既に棚田の土手は緑である。タンポポやスミレは風に揺られ、チョウやミツバチが花を求めて忙しく飛び交っている。谷間に響くウグイスの声、柿の木の若葉がひときわ輝いて見える。月明かりに照らされた田んぼでは、カエルの大合唱が始まった。棚田は、もう春の盛りである。

代掻きを終えた田んぼは、水を湛えて田植えを待つばかりとなっている。あと数日、いよいよその田植えが始まる。

* 今日の写真は、20年ほど前に安物のスキャナでパソコンに取り込んだものです。影の部分が黒くツブれてしまっているのが残念。

 


当初、二年で終えようと始めた「棚田日詩」も、5年目を迎えようとしています。不思議なことに、今も20か国以上の外国の方々の閲覧が過半数を超えていることに驚かされます。こんなローカルで日本語だけのホームページを、どうしてお知りになったのか? 聞いてみたい気もします。案外、写真というものは言葉の壁を乗り越えていくのかもしれません。もしそうだとするなら、こんなに嬉しいことはありません。この4年間、閲覧していただいた全ての方々に心からの御礼を申し上げます。

いつまで続けていくのか私にも分かりませんが、とりあえずは次の一年間、ボチボチと続けさせていただこうと思います。時折、覗いていただければ嬉しく思います。宜しくお願い申し上げます。


 昨年末より、パソコンの調子が思わしくありません。プログラムやデータを記憶するSSDが、4個の内3個までが壊れてしまいました。電源やUSBの接続も不安定です。ここまでゴマカシごまかし使ってきたのですが、いよいよ修理に出そうと思っています。修理にどれくらいの時間が掛かるのか未定ですが、暫く更新できなくなります。ご理解いただきたく、お願い申し上げます。

2016/04/03

再び一本桜

年を重ねるに従って、めぐる季節の早さに驚かされる。もう桜の季節である。棚田では多くの田んぼで春耕が行われ、田植えの準備に忙しくなってきた。

この木は「棚田の一本桜」である。空は鉛色の雲に覆われ、時折その雲間からスポットライトが降りてくる。風も強く、雲の流れは速い。スポットライトは、ここかと思えばたちまち別の場所を照らし始める。しばし待つ。幸運にも一条の光が、桜の生命を蘇らせるかのように輝かせてくれた。僅かな時間の中で何度もシャッターを切る。しかし、トラクターの向きや位置が思ったところに来てくれない。

風景写真は、自分の意志だけではなかなか思い通りにはいかないものである。どこか人の人生にも似ているように思った。