奥比叡の里より「棚田日詩」 | 奥比叡おろし

2013/01/20

奥比叡おろし

冬の京都には「比叡颪(おろし)」という風が吹く。京都の寒さを一層厳しくする比叡山からの吹き下ろしの北風である。滋賀県の湖西地区では、「比良八荒」という比良山地から琵琶湖に向けて吹き下ろされる有名な季節風がある。こちらは、JR湖西線の貨物列車を転覆させたことがあるほどのとんでもない強風である。「比叡颪」と「比良八荒」の丁度中間あたりにある奥比叡の冬の季節風を何と呼べばいいのだろうか? さしあたり「奥比叡おろし」と呼んでおこう。さて今日は、その奥比叡おろしの中で撮った写真である。

 

これは数年前の1月中頃の雪景色である。一枚目と三枚目、煙のように舞い上がっているのは、一旦田んぼの上に降り積もった雪が強風によって舞い上げられている所である。ブリザードである。10mは吹き上げられているだろうか。しかし不思議なことに、どこの場所でも平均的に強風が襲ってくるというわけではない。風にも地形に沿った通り道があるようだ。

二枚目の写真は、強風に引きちぎられそうになりながらも健気に堪えている雑草たちである。少し濃く縞模様に見えるのは、雪の積もった数段の棚田の土手を正面から見ているからである。最後の写真は、強風の去った田んぼの雪の上に描かれた風紋である。

奥比叡では、冬場だけではなく、年に数度、台風は別にして強風に襲われることがある。それでも最初の写真に見られるように、雑木の林や竹林が優しくその風を和らげてくれているのかもしれない。滋賀県  仰木  棚田  棚田米  里山