奥比叡の里より「棚田日詩」 | 春起こし

2013/03/24

春起こし

棚田に春が広がっていく。先週紹介したカエルの卵は孵化を始め、5㎜ほどの可愛いオタマジャクシになっていた。土手の枯草から顔を出し始めたショウジョウバカマと青紫のスミレ、ミスジチョウやキチョウの仲間が蜜を求めて飛び交い、耳を澄ませばヒバリやキジの鳴き声が棚田の谷間に響いていた。棚田  滋賀県  仰木  棚田米  里山

普段の日曜日は農作業をする人影も少ない。しかし今日は違う。田植え前の春起こし(田起こし)が多くの田んぼで行われていた。赤や青のトラクターが土を掘り返し、畝を作っていく。収穫後の秋から春の田植えまでの間に田起こしは1~3回ほど行われる。どのタイミングで何回行われるのかは、それぞれの田んぼの環境、農家の考え方の違いなどによって異なってくる。この時期の田起こしは、田んぼに芽生え始めた雑草を鋤き込み(除草)、代掻きをし易くするのが主な目的となっている。棚田は先週あたりから、小さな生命の目覚めだけでなく、多くの軽トラックが行き交う本格的な春の賑わいを見せ始めてきた。