奥比叡の里より「棚田日詩」 | 籾焼き(燻炭作り)

2012/09/23

籾焼き(燻炭作り)

稲刈りの終わった田んぼのそこかしこで白い煙が立ちのぼる。初秋の風物詩、籾焼きの煙だ。風にたなびく煙は薄く広がり、レースのカーテンのようになって棚田を漂っていく。午後の射光線に透かされた煙のカーテンは、なかなかフォトジェニックである。

煙突を立てた籾焼き(燻炭作り)は、手間とヒマが掛かってしまうので、最近ではほとんど見かけなくなっている。それに代わって、籾を田んぼに直まきし、その上に火をつけるという作業が多くなっている。しかし土壌の酸化を防ぐための燻炭は、やはり手間とヒマを掛けなければいいものができない。焼き加減が難しい。真っ黒に炭化してしまってもいけないし、まして灰になってしまっては意味がない。こまめに見回り、焼けていない籾殻を絶えず上にかぶせていかなければならない。わずかな量の籾殻でも、この作業を繰り返し繰り返し、一昼夜は掛かってしまう。こうした作業を見ていると、燻炭の字のごとく、焼くというよりも「燻す」と言った方がピッタリくる。燻炭作り、もう来年の米作りの準備が始まっている。

燻炭は、活性炭や炭と同じような効能を持つ。田んぼはもとより、キュウリやイチゴといった野菜や果物の土壌の改良剤にもなる。金魚などの水槽に入れておくと水を浄化してくれる。家の床下に撒いておくと除湿剤にもなる。生ごみや牛舎などの臭いも取ってくれる。融雪剤にもなる。花瓶などに入れておくと、殺菌効果もあり、お花が生き生きとするそうだ。etc、etc。

稲は本当にエライ!!  お米を育ててくれるだけでなく、籾殻まで人様の役に立ってくれる立派な植物である。

  昨日の天気予報では、 50%の確率で午前中は雨のはずだった。しかし雨は時折弱く降るだけで、曇りと言った方がよい天気だった。予定されていた「守り人の会」の脱穀が行われているのかどうか分からなかったので、一応田んぼに行ってみることにした。家の玄関を一歩出てみると思いのほか肌寒く、長袖のシャツに着替えることにした。昨日までの残暑は何だったのだろうか。田んぼに着くと、やはり脱穀は順延され、27日の木曜日、籾摺りが29日の土曜日になっていた。少し時間があったので、家への帰り道、「小さな秋」を拾って帰ることにした。

 

里山みらいじゅく 2012 ————————————————————–
   人の営みとともにある生命(いのち)ある自然、里山。その「里山」という言葉が今日のように一般的に使われるようになったのは、写真家今森光彦さんの活動と結びついています。彼はその「里山」を映像化するにあたって、仰木や伊香立、高島やマキノといった湖西の農村地帯を舞台としてきました。今森さんとともに仰木の里山を歩き、里山の秘密や不思議をお聞きください。今回は、上仰木の田んぼを歩かれるそうです。午後からは絵本作家の「はたこうしろう」さんの講演とお二人のトークショーがあります。里山や棚田に、少しでも関心のある方は、ぜひ、ぜひ、ぜひ、参加してみてください。自然に対する見方が変わるかもしれません。

 

と    き:10月14日(日)   9:30~

と こ ろ:大津市仰木   /   太鼓会館

詳しくは、今森光彦さんのホームページでご確認ください

http://www.imamori-world.jp/ima-event/satoyama/satoyama_2012.html