奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2016 | 11月

2016/11/20

命の朱い実

晩秋の落日は早い。太陽はすでに奥比叡の山々の向こうに沈んでいる。かなり暗くなってからの一枚である。柿の木は葉っぱをすべて落とし、残された朱い実が終わりゆく秋の風情を漂わせていた。もうこの朱い実は干し柿として食べられることはない。後は朽ちていくだけである。しかしその過程で、鳥やサルやタヌキなどの多くの生き物たちの冬の命を支えていく。