奥比叡の里より「棚田日詩」 | 初雪

2012/12/09

初雪

先週の日曜日、仰木にも初雪が降った。と言っても、里にまで降るわけではない。12月の初旬から中旬に掛けての雪は、ほとんどが奥比叡の山々を薄く雪化粧するだけである。それも大抵は、昼過ぎにはほとんど融けてしまい、翌日にはすっかり消えてしまっている。それでも朝起きて、自宅から見える奥比叡の山々が白く染まっていると、子供のように嬉しくなってくる。(あまり雪の降らない地域に住む者の他愛のない感情である。豪雪地帯の方々には申し訳ない気がするが・・・・・)  この日も6時に起きて山を望むと、心はもう雪山の中にあった。車を走らせ山へと向かう。途中、上の風景に出会った。その時、「奥比叡の山が真っ白に染まると、何でか知らんけど、その年の米は美味いんや! 」(*1)というおじいちゃんの言葉がなぜか思い出されていた。「山と田んぼ」は知らないところで深く結びついているようだ。

 

 

(*1)   雪の量とお米の美味しさとの間に因果関係があるのかどうか? 私には分かりません。また科学的に実証されているのかどうかも知りません。ただここでは、村の人たちが「山と田んぼ」との関係をこのように結び付いたものとして理解されているという事実が大切なように思いました。また私自身、山と田んぼは別のもの、別の空間としてカメラを向けていましたが、こうしたおじいちゃんたちに教えられ、今では「山と田んぼ」を一体のものと感じて撮影しています。

 

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これは、余談です。下の二枚の写真をご覧ください。上の雪景色は先週の12月2日、下の紅葉は11月14日、ほぼ同じ所から撮ったものです。わずか半月ほどの間に劇的に変化する奥比叡の山景色をお楽しみください。

 

ご注意!!   奥比叡の山は、500~700mほどの低い山々です。それでも雪の積もった林道を車で走るのはとても危険です!!  谷側はほとんど崖になっていて、転落の恐れが十分にあり、命に係わる事故になることは間違いありません。雪のない所までは車で行けますが、車は迷惑の掛からないところに置いて、必ず歩いて登ってください。この辺りは穏やかな自然ではありますが、甘く見るととんでもないことが起こります。とんでもないことをいくつか経験してきたので、ご忠告申し上げます。なお山だけではなく、雪の降った棚田の農道も極めて危険です!!  絶対に車では入らないでください!!

林道にせよ棚田にせよ、いずれも村の人たちが先祖代々管理されてきたものです。そのことに感謝し、できるだけご迷惑を掛けないことが棚田巡り・里山巡りの基本です。