奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2018 | 1月

2018/01/01

あけましておめでとうございます

田んぼの土も辺りの水たまりも全てが凍りつくほどの寒い朝だった。足元の霜に包まれた雑草を夢中で撮影していると、背中越しに空が明けていくのが感じられた。振り向くと、東の空は赤く染まっていた。見晴らしのいい所に行かなければ!   機材をバッグに仕舞い、30~40mほどの棚田の急坂を一気に駆け上がる。登るにしたがって、琵琶湖の対岸にある近江富士(三上山)が徐々に姿を見せ始めた。何という光景なのだろう!   茜の空に見たこともない形の雲が流れていく。そこはもう「日本昔ばなし」の世界だった。


   穏やかで牧歌的な景色である。しかしリアルな人間社会は、決して牧歌的なものではない。日本を含む東アジアでも、少しキナ臭くなってきている。自然はそんな人間社会とは関わりなく、光と影の昼間の世界を作り出し、満天の星空を輝かせ、やがて希望に導くかのような朝を演出する。地球上では既に40億年近く、それを繰り返している。穏やかで感謝に満ちた朝を迎えるのか、残酷で悲痛な朝を迎えるのか、すべてはリアルな人間社会、私たち一人一人の価値観や生き方に掛かっているのではないのだろうか?    いつまでも、いつまでも写真のような牧歌的な朝を迎えたいものである。


「棚田日詩」を始めて、6度目のお正月を迎えることとなりました。こんなに長く続けられたのも、全て皆様のお陰だといっても過言ではありません。年頭にあたり、感謝と御礼を申し上げます。

新しい年もまた、皆様の願いや目標が叶いますことを心からお祈り申し上げます。