奥比叡の里より「棚田日詩」 | 草取り

2012/07/29

草取り

猛暑日が続いていたが、この日は朝から曇り空だった。それでも日中の気温は34度。さすがに棚田に人影はない。少し温度の下る夕方頃から、ぽつぽつと田んぼに人が戻り農作業が始まる。この写真は、おばあちゃんが雑草の稗(ヒエ)を取っているところだ。腰をかがめ、稲の根元まで顔をうずめ、一本一本丁寧に雑草を引き抜いていく。車の温度計を見ると31度を指していた。風もなく湿度が異常に高い。じっとカメラを構えているだけで、不快な汗が体にまとわりつくように染み出してくる。熱中症が心配な過酷な環境である。おばあちゃんは2時間ほどかけて繰り返し繰り返し草取りをしていた。若者に引き継ぐことの難しい棚田農業がそこにあった。