奥比叡の里より「棚田日詩」 | 奥比叡、山の秋

2012/11/21

奥比叡、山の秋

 この季節になると、毎年数回は奥比叡の山の中に入る。雑木の紅葉が美しいからだ。とはいえ、東北などに見られる全山紅葉といったスゴイものではない。奥比叡の山々(仰木)を遠くから眺めると、中腹辺りまでは雑木林が比較的多くある。中腹から山頂にかけては、ほとんどがスギやヒノキの黒い緑の針葉樹林となる。その針葉樹林の中に穴が空いたように、所々に雑木林が広がっている。雑木林の紅葉は、クヌギやコナラが多いせいか、遠くから見ると地味~な茶色一色のように見える。ところが山に入って間近に見てみると、写真のようになかなか味わい深く、美しい。虫などにかじられた葉っぱが多くあるのも、何だか嬉しくなってくる。

かつて雑木林は、柴刈り場でもあった。おとぎ話の桃太郎に出てくる「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」といった柴刈りである。決して、芝刈りではない?! この昔話に語られている“山”は、文字通りの山ではなく、関東あたりでは平野部の雑木林でも山と呼ばれていたらしい。それはともかく、雑木の枯れ枝は、ガスや電気が完備されるまでの貴重なエネルギー源であった。山裾に広がる雑木林だけでは村の需要が充たせなくなり、徐々に山の上の方の雑木林も柴刈り場となり、その集積場となっていった。その名残が今年もまた、私を美しく迎えてくれている。

 

 

 

本業はこれから、お歳暮商戦の真っ只中。恐らく文章を書く時間がないのではないかと思っています。写真だけのDiaryになるかもしれません。ご了承ください。