奥比叡の里より「棚田日詩」 | お散歩日記

2013/02/10

お散歩日記

私の撮影スタイルはお気軽なものです。「傑作を撮ってやる!」といった「一球入魂」的な力の入ったものではありません。そうした写真もなくはないのですが、どちらかというと「お散歩写真」的なものです。あるいはその日、その時に感じた思いを写真で綴る「写真日記」とでもいうべきものです。田んぼを歩いていて、なぜか分からなくても心に響いたものを片っ端から撮っていきます。ほとんどの写真が出会いがしらのインスピレーションといったところです。2~3時間ほど歩くと300~600枚ほど撮ってしまいます。このホームページの写真は、99.9%がこのようなスタイルで撮られたものです。今日の写真などその典型的なものですが、何かの役に立つ写真というよりは、散歩の中で自分にとっての「愛おしいもの」を撮っているといった感じです。愛おしく感じるものが、ほかの人と比べてちょっと変かも知れませんが・・・・・ こうした写真を見ると、私の写真はやはり「お散歩・日記」なのだと改めて思えてきます。

 

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最近では、農機具に付いた田んぼの泥などが村の中に持ち込まれるのを嫌がる人が増えている。そのため農具小屋は、棚田の中に直接建てられるようになってきた。農具小屋が棚田の中にあれば、農機具が村の中を通ることもなく、泥が落ちることもない。当然機械類を入れなければならないので、メーカー製の大きな農具小屋が必要となる。一番上の写真は、棚田の中に建てられた新しい農具小屋の周りに、使い古しの道具が村から引っ越してきたところである。どれも実際に使われてきた道具だけが持つ風貌がある。特に雪の綿帽子を被った七輪が可愛く、みんなとおしゃべりしているように思えた。

二枚目の写真は、一番乗りだと思っていた私より先に、すでにお百姓さんが来られていた、という証の一枚。

三枚目は、逆光で真っ黒になっているが、これはカラスではなく山鳩である。冬の少ないエサを求めてやって来ているのかもしれない。

四枚目は、雪の棚田の中に置き去られた防火用バケツ。ここに存在する理由がどこにあるのだろうか? ちょっとミステリアスで愛らしかった。

五枚目は、ドラム缶と融けかけた雪の風情が面白かった。このドラム缶は、シシ(猪)やシカを脅すために使われている。このドラム缶を木の棒などに吊るして、中に入れた薪を一晩中燃やし続けるといった脅しである。大きな効果がないのか、手間が大変なのか、それともここ数年のシシの被害が大きすぎてこんな方法では間に合わなくなっているのか、いずれにしても最近はあまり見かけなくなっている。滋賀県  仰木  棚田  棚田米  里山

最後の写真は、葉っぱの周りから溶け出す雪が面白かった。比熱が違うからと言ってしまえばそれまでだが、命あるものの暖かさのようなものを感じさせられた。