奥比叡の里より「棚田日詩」 | 太陽降臨

2013/05/19

  太陽の核融合の光と熱が約8分の宇宙の旅を経て、田んぼにそのエネルギーを伝えている瞬間だ。苗床(なえどこ)の籾は、積算気温100~120℃で発芽する。やがて葉と根を伸ばし、15cm程に育つと田植えである。この写真の稲は、田植え後数日ほど経ったものであり、既に根を張り始め、しっかりと自立できるようになってきたところである。その後の稲は、葉と茎を増やしながら、増えた茎ごとに穂をつけ、花を咲かせ、受粉した実が米となる。たった一粒の種籾が2000粒ほどの米を稔らせると言われている。この生命の奇跡、生命の不思議は、太陽の存在なしに起こり得ない。この光景は、米を主食としてきた日本人の食と命を支えてきた源風景かも知れない。

太陽降臨

上のタイトル写真は、説明がなければ何が写っているのかよく分からない写真かも知れない。朝の4時半頃、日の出とともに真っ赤な太陽が、田んぼの水面にその姿を映した瞬間である。その光は水面で乱反射し、それがレンズの作用で丸い火の玉のようになって輝いているところである。

  地球がすべての生命を育むゆりかごであり、母であるとすれば、太陽はその生命の父である。毎年こうした写真を撮る度に、いつもは忘れている太陽の役割を思い起こさせてくれる。核融合で生み出される太陽の膨大なエネルギーは、ここ奥比叡の小さな小さな田んぼにも届けられ、稲の成長を促すだけでなく、田んぼと関わる無数の生命たちをも目覚めさせていく。

 

 

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週末、「平尾  里山・棚田守り人の会」と「リビング滋賀」の主催で、田植えが行われた。総勢100名ほどの棚田オーナーたちが、朝からの春の半日、気持ちのいい汗を流されていた。

この田植えの様子は、今週中にUPしたいと思っています。棚田 滋賀県 仰木 棚田米 里山