奥比叡の里より「棚田日詩」 | 仲秋の月

2012/10/21

仲秋の月

仲秋の名月。読んで字のごとく、秋の真ん中の名月である。但しこれは、太陰暦での話。太陰暦での秋は、7・8・9月。その真ん中の8月の名月ということになる。しかし上の写真は、太陽暦における仲秋(10月)の名月である。馬蹄形の棚田の隣にある駐車場から、昇ってくる月を望遠で狙ってみた。青い山影は、琵琶湖の対岸にある近江八幡あたりの山々である。足元の草むらではコオロギたちが切なげに鳴いていた。田んぼの中で見る仲秋の名月は、心を一層秋にしていく。

 

9月30日の台風の時、強風にあおられて三脚に据えたカメラが倒されてしまった。コンクリートと激突し、レンズとともに重症となった。先週、そのカメラがようやく戻ってきた。今日は試し撮り。田んぼに出てみると既に彼岸花の姿はなく、ススキが秋の夕陽を受けて輝いていた。そんな中、来年の米作りの準備がそこかしこで始まっている。秋耕された畝(うね)の凸凹が、田んぼに何十本もの光と影の美しい縞模様を描き出していた。