奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2014 | 5月

2014/05/25

補植

美しい曲線で囲まれた棚田は、直線的な動きをするトラクターではどうしても田植えのできない部分ができてしまう。また、普通は3~4株を一まとめにして植えていくのだが、機械まかせにしていると一株や二株の所もできてしまう。植え残した所、粗密になった所、そうした所は、昔ながらの手作業で稲を植え直していくしかない。この作業を「補植」という。

今日の写真は、その補植作業の最中のものである。田んぼの泥の中を進むには、都会の歩道を歩くようにはいかない。それなりの「力とコツ」がいる。農夫の少し前かがみになった姿勢と田んぼに広がる波紋がそのことを物語っている。

2014/05/11

モダンな農村風景

最近のトラクターは、スポーツカー並みにカッコよくなってきている。そのカッコよさに惹かれてシャッターを押した一枚である。私は都会で育ったためか、田園風景に日本人の「心の故郷」を重ね合わせるということが少ない。この「棚田日詩」の中でも、♪うさぎ追いしかの山、こぶな釣りしかの川・・・ 的な郷愁を誘う写真はほとんどなかったのではないかと思っている。

25年前に初めて奥比叡の棚田と出会ったときも、まるで異郷の風景を見るような新鮮な感動と興奮に包まれたのを覚えている。恐らく西洋人がこの風景を見て感じる心のさざ波に近いのかもしれない。当時は見るもの全てが新しく、何とオシャレでモダンな風景なのだろうと感じていた。今も郷愁ではなく、現在進行形の感動を撮りたいと思っている。

一昨年の5月6日から始めた「棚田日詩」も、今回で3年目を迎えることができました。これまで閲覧していただいた皆様に、心からの「感謝」と「御礼」を申し上げます。どこまで続けられるのかは分かりませんが、まずはこれからの一年、今までよりもゆっくりとしたペースで進めていきたいと思っています。

これからも四季折々の奥比叡の農村風景を、できれば伝統的な農村観に囚われない新しい農村風景をお届けできないかと願っています。

これからも宜しくお願い申し上げます。