奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2023 | 7月

2023/07/23

暑中御見舞

日本列島、大方の地方で梅雨は明けたようだ。これまでも充分暑すぎたが、これからが夏の本番だと考えると少しウンザリしてくる。気温は35℃を越している。できるだけ日陰を選んで棚田の中を歩くようにしている。それでも、1時間以上も撮影していると頭がクラクラしてくる。年の重なりと共に夏が厳しく、危険になってくるようだ。

私も気を付けますが、皆さま、くれぐれも御身大切に!!

2023/07/09

今森光彦「里山 水の匂いのするところ」

この写真の前で、暫し佇んだ。琵琶湖の近くで生活している私にとって、琵琶湖特有の「水の匂い」が懐かしく蘇えってきた。それは山奥の清流の匂いではない。この匂いは、夥しい数の生命を育んできた水、それ自身が生命であった水、太古から人々の暮らしと共にあった水、そんな水から醸し出される匂いのような気がしている。

 

朝の漁を終えた船が帰港しているのだろうか。静寂の中、靄はゆっくりと流れ、水面に掉さす音が聞こえている。かすかに船は軋み、時折鳥の鳴き声が聞こえてくる。これは自然を畏れ、敬い、自然に感謝する、そんな人々と自然が作り上げてきた風景である。200年前、300年前のこの地にも同じような人々の営みがあり、同じような朝の一時が流れていたのだろうと思う。そして100年後、人々はここでどんな風景、どんな時間を紡ぎ出しているのだろうか?

 

原画(プリント)でしか味わえない色調や空気感があります。残念なことにそれらは、パソコンやスマホの中では感じることのできない世界です。ぜひ、美術館で今森光彦さんの「里山」を感じてください。そしてぜひ、私たちの生活の身近にある「里山」に足をお運びください。