奥比叡の里より「棚田日詩」 | X’mas present

2012/12/23

X’mas present

下仰木にひと際目を引くメリー・クリスマスがある。毎年この時期になると、ある農家の庭先が一夜にして光のアートギャラリーに変身する。クリスマスとは縁遠い私でも、この光のオブジェを見る度に、「ああ、そろそろクリスマスなんだ・・・・・」と実感させられてきた。田んぼの風景だけでなく、こんな都会チックな点景も、奥比叡の農村の今を彩る大切な風景の一つだと思っている。

今年は思い切って写真を撮らせていただくことにした。ご主人にお聞きすると、デザインもご自身でされるそうだ。今年も楽しいイルミネーションだが、数年前の汽車(SL)をテーマにされた飾り付けは今も記憶に残っている。いざ撮影を始めるとおばあちゃんが出てこられ、「この節電の御時世、申し訳なくて・・・・申し訳なくて・・・・」と何度も何度も恐縮されていた。そう言われれば、今年は少し遠慮をされているのか、心なしか地味になっているようにも思われる。1時間ほどの撮影の合間、ご近所の子供連れの家族が訪れ、はしゃぎまわる子供たちとともに記念撮影をされていかれた。撮影をしたいというカメラマンらしき人も何人か来られていた。

人を引き寄せる光のオブジェ。「節電の御時世・・・・」電力需給の信頼できる実態が見えてこないだけに、答えの出しにくい問題ではあるが、近所の子供たちにとっては、楽しいクリスマスのBigなプレゼントであることに間違いない。

 

やはりクリスマスは、ホワイトクリスマスがよく似合う。そんな訳で、雪景色二枚を添えさせていただいた。上の写真、この日は一日雪の棚田で格闘していた。辺りも暗くなり、その帰り道にこの小さな窓の灯りと出会った。冷え切った疲れた体に、なぜか温かさを灯してくれた。下の写真は、田んぼの畝に降り積もった雪の造形である。その雪の上に小さな枯草が顔を出していた。雪の下では、彼らの子供たち(種)が、春の来るのを待っている。