奥比叡の里より「棚田日詩」 | 深まりゆく秋の予感

2016/10/23

深まりゆく秋の予感

今日、久しぶりに山へ入った。所々に黄色や赤の小さな紅葉は見られるが、まだ山は深い緑の中にある。本格的な紅葉には一月ほど早いようだ。

中秋の林道は、輝くススキの穂が私を迎えてくれていた。確かに風は冷たくなっている。それでも、落ち葉を踏みしめる音を聞きながら山道を登っていくと、背中が心地よく汗ばんでくる。

奥比叡の山々は、大部分が檜や杉で覆われている人工林である。その薄暗くなった木陰の中に、ひっそりと花びらを散らしている野菊を見つけた。それが、これからの秋の深まりを暗示しているようでもあった。