奥比叡の里より「棚田日詩」 | 2015 | 4月

2015/04/26

眩しい季節

田んぼの畔に柿の木が一本。枝々には芽生えたばかりの小さな葉っぱが、朝陽を透かして柔らかく輝いている。谷間の棚田に流れる春風は、時折田んぼの水面に銀色のさざ波を残して吹き抜けて行く。畦を彩るスミレやタンポポ、アザミたち。蝶は舞い、小鳥たちは空高く唄っている。足元では、慌てたカエルたちが一目散に逃げていく。まるで、生まれたばかりの生き物たちの生命(いのち)の大合唱が聞こえるようだ。

今年も田植えの季節、そして小さな生命が目覚める季節を迎えることができた。60を過ぎた頃からだろうか。歳を重ねるにしたがって、このめばえの季節が一層愛おしく、眩しくなってくる。


 

この「棚田日誌」も4年目の春を迎えることとなりました。これまで訪問していただいた全ての人々に、心からの感謝と御礼を申し上げます。あと一年は何とか続けさせていただこうと思っています。宜しくお願い致します。

一月ほど休んでしまった「ちょっと気掛かり・・・私の自然体験」の方は、5月から再開させていただくつもりです。

2015/04/12

サクラナク

今年の棚田でのお花見は、荒れた天候の中にあった。ほとんどが雨の日を挟んだ曇り日というあり様だった。青空のもとでのお花見は、わずかな時間しか与えられなかった。

3月末の初夏のような暖かさの中でようやく蕾を膨らませ、花開いたかと思えば冬への逆戻り。いくつかの地方では、雪まで降ってきたと聞く。この日も冷たい雨に打たれ、桜の花びらから涙の雫が落ちていた。遠くから望む「一本桜」も雨に煙られ、少し淋しそうに見えるのは私の感傷だろうか。

田んぼの方は、水路や畦の補修、土手の草刈り、田起こしや水入れで、にわかに慌ただしくなってきている。


 今月は、私の本業の方の決算月。「ちょっと気掛かり・・・私の自然体験」の続きになかなか時間が取れません。できるだけ早い時期に再開したいと思っています。

2015/04/01

サクラサク

今日はやさしい春雨が一日中棚田を濡らしている。時折晴れ間を覗かせるが空はどんよりと重く、遠くから望む「一本桜」は開花を待つ蕾で赤っぽく見える。その大木の真下から見上げると、弾けんばかりの蕾が枝という枝に鈴なりだ。どの枝も少し重く垂れ下がっているように見えるのは気のせいだろうか。

目を凝らして蕾の中を探していると、「アッ」花が一輪!・・・・二輪・・ ・・三輪・・・・ポツポツポツと開花を始めているではないか。なぜが自然に喜びが湧いてくる。1990年からこの桜の木を見続けてきた。いろんなおじいちゃんに聞いてみると、既に「100才を越す老木」であるという人もいる。今年もご苦労様、そしてありがとう!!


「ちょっと気掛かり・・・私の自然体験」が思ったより時間が掛かってしまい、いつの間にか桜の季節になってしまいました。今日は少し息抜きということことで、「一本桜」の開花をお知らせします。奥比叡の山裾の「桜公園」は、まだ蕾のままです。それでも、ここ2~3日でほころび始めそうです。5日の日曜日は見頃になってくるのではないでしょうか。ただ予報通りだと、雨が心配です。