奥比叡の里より「棚田日詩」 | 乾田・湿田

2012/11/04

乾田・湿田

稲刈りが終わっても仰木の棚田は忙しい。田んぼの「乾燥」という一仕事が残っている。山の斜面に築かれたかつての棚田は、自然に地下水が浸み出し、一年中水の抜けない湿田がそこかしこにあった。「子供の頃は田んぼに厚い氷が張って、その上を滑って遊んだもんや」とおじいちゃんから聞かされたことがある。春先にはその氷が解け、膝のあたりまで沈み込んでしまう泥の田んぼであった。手作業で田植えをしていた頃は、その湿田のままでも良かった。しかし泥深い田んぼでは、機械を入れることが難しい。湿田での重い泥田を耕す農作業は、文字通り「骨の折れる」仕事であり、収量も低かった。土壌改良や水管理のしやすい乾田に比べてお米の質も悪かったと聞く。戦後のわが国では、この乾田化が大規模に行われた。この仰木でも、昭和30年代の後半頃から乾田化が進められた。

乾田となった今でも、放っておくと自然に水が浸み出してくる。田んぼの周囲に深い溝を掘り、田んぼの中心部にまで水が浸潤しないようにする。秋耕し、畝を立てる。棚田の土手の草刈りをこまめに行う。等々、乾燥のための農作業が今日も行われていた。

 

 

ありがとうございました ————————————————————————————————————-

 ホームページ開設から、半年を迎えることができました。毎週日曜日の更新は、正直、試行錯誤、四苦八苦といったところです。作業はできるだけ、仕事の休日である日曜日に決めています。リアルタイムな奥比叡をお伝えしたいと思い、1~3時間が写真撮り。1時間が写真の選択とレタッチ。更に2~3時間が文章といったルーチンになっています。文章が途中で終わっている日は、文章を書くのが3時間を超えてしまったからです。別の機会に続きを書かせていただこうと思っています。いずれにしても、写真も文章も、日曜日になってからの出たとこ勝負です。まず季節にあった写真を決め、その写真を30分ほど眺めて、文章を書き始めます。統一的なテーマに沿って、何かを書いているわけではありません。散漫なDiaryになっていると思います。しかしヘタクソな文章、散漫なテーマの中にも「奥比叡の里」への愛情はその底流にあったと思っています。

この半年間、お付き合いいただきありがとうございました。これからも時々覗いていただければ、それが一番の励みになります。宜しくお願い申し上げます。