奥比叡の里より「棚田日詩」 | 稲わら

2012/10/14

稲わら

 土壁の土蔵(米蔵)。この味わいのある建造物も少しずつ少なくなってきている。傷みの激しくなった土蔵は、最近では取り壊されるか、蔵全体が新建材で覆われることが多くなってきた。

こうした土壁を見ると、50年前の子供の頃を懐かしく思い出す。私は京都市の大丸の近所で少年期を過ごしていた。今でこそコンクリートのビルがほとんどだが、当時はまだ町屋も多く、こうした土壁を作る左官仕事がしばしばあった。少しずつ水を入れながら粘土状の土塊と細かく切られた稲わらを練っていくのを、飽きもせずに眺めていたのを覚えている。その時は知る由もなかったが、土壁の強度を増すために「稲わら」は無くてはならないものだった。

上の土蔵と下の田園風景は、収穫したお米の保管場所という以外に、土壁に練り込まれた「稲わら」というキーワードでも結びついている。長い間自給自足的な経済の下にあった農村風景は、すべからくこのようにして成り立っている。

 

(上の3枚の写真は、9月8日棚田オーナーたちによって刈り取られた田んぼの今です)

 

 

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仰木自然文化庭園構想 八王寺組/稲刈り・稲架掛け・脱穀・縄ぬい

10月21日(日)、上仰木の八王寺地区の棚田で稲刈りや脱穀などが行われます。この八王寺の棚田は、琵琶湖が一望できる素晴らしいロケーションの中にあります。下の写真は上仰木の棚田です。

 

詳しくは、「仰木自然文化庭園構想 八王寺組」のHPをご覧ください

http://kamiogi.jp/?cat=32

http://blog.goo.ne.jp/kamiogi